総裁選というコンテンツを楽しんでしまった

自民党の総裁選が終了し、岸田氏が新しい総裁になることが決まった。
私は自民党員ではなく、投票できないので関心を持ってもあまり意味がないのだけれど、なんだかんだで関連報道をたくさん見てしまった。

勝利者が次の首相になる
自民党内の勢力争いの様相が次々とレポートされるので、コンテンツとして面白い

そういった要因によって、持続的に興味が発生したのだと思われる。

当初は一般から人気を獲得している河野氏が優勢。
安倍氏高市氏を押し、票を集めて分散化をはかり、岸田氏との決選投票に持ち込んで勝利しようとしている。
石破氏が河野氏を支援することにしたが、かえって議員票が離れていってしまう…。

そのような、自民党の内幕に関する情報が絶え間なく流れてくると、デッドヒートが繰り広げられるレースを観戦しているような気分になり、いつの間にかエンターテイメント感覚で楽しんでしまっていたのだ。

誰が浮かぶのか、誰が沈むのか、自分と直接の利害関係がないからこそ、傍目から眺めて、娯楽として消費してしまうことができる。
そういった側面が、総裁選にはあったように思う。

これによって自民党は、自分たちの動きに国民の耳目を引きつけ、新しい総裁の存在をアピールすることができる。
いつできたものなのかは知らないが、システムとしてはよくできていると感じた。

けれども、だからといって自民党を支持するようになるかというとそんなことはなく、看板は変わったものの、中身は変わらなさそうだという感想を持った。

岸田氏は森友問題を説明すると言ったものの、すぐに安倍氏から圧力を受けたようで、再調査はしないと述べ、引っ込めている。
この様子からして、格差の是正に取り組むと宣言しているものの、現状で格差の拡大をもたらしている、アベノミクス新自由主義)からの路線変更が本当にできるのかどうか、疑わしく感じている。
本当にできるのであれば、しばらく岸田氏に首相をやってもらいたいとも思うが、現時点では判断がつかない。

他に気になったのは、党員票の扱いだ。
最初の投票では議員票と党員票の総数は同等に扱われたのに、決選投票ではなぜか大きく票数に差がつけられている。
党員票は、最初は382票だったのが、決選投票では47票にしかならないのだ。
これでは党員になっても総裁の決定に十分に関与できるとは言えず、党員は党員であることのメリットを感じられないのではないだろうか。

河野氏の方が党員票の大半を獲得したものの、議員票の差で敗れたが、この仕組みは民意を軽視しているように見える。
これでは、党員たちが新しい総裁をもり立てていこうとする機運は生まれないだろう。
この結果はおそらく、近いうちに行われる衆議院選挙に、悪い意味で響くことになるのではないかと思われる。